大晦日の大騒動・掛取萬歳
江戸時代の商慣習
江戸時代には、「掛け売り」と呼ばれる、いわゆる「ツケ」で売買することが一般的でした。買う人はその場で品物を受け取り、代金はあとでまとめて払うという販売方法がとられていたのです。代金を払うのはだいたいお盆と大晦日の年2回。その代金を回収してまわることや、回収してまわる人を「掛け取り」といいます。商人にとっては、多くのお客様から半年分の代金を回収しなくてはならないため、大晦日は大変な一日となります。払う方も、いろんな掛け取りがいっぺんに来ますから、こちらもまた大変です。払うお金があるならいいですが、ないとなると、それ相応の対策が必要となります。
好きなもので言い訳を
落語「掛取萬歳(かけとりまんざい)」は、貧乏長屋の住人・八五郎が、掛け取りたちの好きなもので言い訳をしようというお話です。まずやって来た大家は大の狂歌好き。「貧乏をすれど我が家に風情あり 質の流れに借金の山」など八五郎は貧乏をネタにした狂歌を次々に披露し、感心した大家は支払いの延期を認める狂歌を詠んで帰って行きます。
次にやって来た魚屋の金公はケンカ好き。そこで八五郎は向こう鉢巻をしてケンカ腰の物言い。金公が「勘定をもらうまで一寸も動かねえ」と言ったのを逆手にとって「俺も男だ、勘定を払うまではテメエを一寸も動かさねえからそう思え」「金が入るまで、半年でも一年でもそこに座ってな」と言い放つ。金公が「おめえのとこ一軒で商売してるわけじゃないから、これから方々回るんだ」と行きかけると、「勘定取ったのか? 取らないならなぜ動くんだ」。これには金公も「めんどくせえからもらったでいいや」。八五郎は「もらったらなぜ受け取りを置いていかねえ」と、とうとう勘定の踏み倒しに成功します。
浄瑠璃好きの大阪屋の旦那には浄瑠璃で、芝居好きの酒屋の番頭には芝居調子で言い訳して気分よく帰ってもらい、最後に、三河萬歳好きの三河屋の主人には三河萬歳で「ああら、百万年も経ってのち払います」でサゲになります。浄瑠璃に歌舞伎に三河萬歳と芸事の素養がないとやれない演目ですね。
年に2回の義務
年に2回の「掛け取り」。年に2回といえば、労働安全衛生法および労働安全衛生法施行令に基づく、労働安全衛生規則の第619条は、次のように記載されています。
(清掃等の実施)
第六百十九条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと。
二 ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ、昆虫等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。
三 ねずみ、昆虫等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条又は第十九条の二の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いること。
(平一六厚労令七〇・全改、平二六厚労令八七・一部改正)
参照:厚生労働省法令等データベースサービス
つまり、年2回の大掃除は事業主の義務なのです。
年末掃除はプロに任せて
現在でもBtoBでは掛取引というものはありますが、年末の事業所にたまっているものは「掛け」だけではありませんね。いくら毎日清掃をしていたとしても、手の届かないところに1年間の汚れがたまっていたりするものです。そして、年2回の大掃除は法的義務で、必ず行わなければなりません。
しかし、年内に大掃除をと思っても、忙しい年末、なかなか人手がそろわない事業所もあるでしょう。天井や外壁、床のワックスがけなど、素人ではなかなか手を出しにくい箇所もあります。そんな場合には、大掃除を外部に委託してはどうでしょうか?
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