AIロボットと働く風景
朝8時のマルハン新宿東宝ビル店の店内。10時の開店に向けて、客を迎える準備がスタッフの手で着々と進められています。
広い店内に掃除機をかけるため、数十mもの電源コードを引き出して、手繰っているスタッフもいれば、両手に手袋型のダスタークロスを付けて、遊技台をものの数秒ですみからすみまで、次から次へと拭き上げていくスタッフもいます。ときおりヘラで床をこそげながらモップで床を磨いているスタッフ。ダストボックスのごみ袋を集めているスタッフ。
そして、その向こうからやってきたのは、マルハンのオリジナルキャラクター『にゃんまる』のラッピングが施された業務用AI清掃ロボット J40です。
これからの当たり前
床の水拭きを行っているこの清掃ロボット、スタッフに近づいた際にはピタリと止まり、音声で注意を促しています。スタッフが離れると、また動きだし、床の清掃を続けます。スタッフの方も慣れたもので、ロボットが清掃していることを当たり前のように、自分の仕事を続けています。
このように、人とロボットが一緒に働いているのが、これからの施設清掃では当たり前の風景になっていくものと思われます。少子高齢化の影響が直撃し、常時、人手不足が叫ばれているビルメンテナンス業界。導入されるロボットの台数は、今後ますます増えていくことでしょう。
ロボットの得意なこと
ロボットは同じ作業を繰り返すことが得意ですから、清掃作業でも一貫した品質を保ち、清掃のムラをきわめて少なくできます。
清掃のスピードもかなりのものがあります。こちらの店舗で使われているJ40の場合、通常モードでも1分間に60mを清掃しながら進めます。最高速だと1分間で102m。不動産関係の広告で使われている徒歩○分という表示は、80mにつき1分と決められていますが、かなりしっかり歩かないとなかなか1分間で80mは歩けません。一般的な人の歩く速さは時速4kmと言われています。つまり1分間に66.7m。掃除しながらの60mはかなりの速さと言えそうです。
また、コスト面を見ると、イニシャルコストとランニングコストを合わせても、人件費と比べてかなりの低減が見込めます。もちろん、ロボットが想定通りちゃんと動いてくれることが前提ではありますが。
人にしかできないこと
逆に、人の方が得意なこと、ロボットにはできないことを見てみましょう。
現在、業務用清掃ロボットの多くは床清掃用のロボットです。掃除機がけでは、カーペットの奥のごみまで吸い上げますし、タイルもしっかり水拭きしてくれます。しかし、床清掃用ですから、遊技台のような立体的なものの清掃はできません。
そして、どの清掃ロボットも本体の下部で清掃作業をする構造のため、本体が入って行ける場所しか清掃はできません。人のように掃除機のノズルを伸ばして、遊技台の下を掃除するというわけにはいきません。
また、物流倉庫や製造工場では、ピッキングロボットによって必要なものを取り出したり片づけたりといった作業が行われているようですが、屋内に点在するごみ箱のごみを集めるという作業ができるロボットは、まだ実用化されていないようです。
そして何より、清掃したエリアが適切にキレイになっているかをチェックし、必要なら追加の作業を行うということは、まだまだ、人にしかできないことです。
ロボットは画一的な清掃作業は得意ですが、頑固にこびりついた汚れがあった場合の対応ができません。
人とロボットの最適解
将来的にはセンサーで清掃後のチェックを行い、AIで判断して、汚れの残っている場所だけを再度、より強力に清掃するといった、状況に応じた動きができるようなロボットも開発されることでしょうが、それもまだ遠い先。ロボットにできることはロボットにやらせて、人は人にしかできないことをやる。それが、慢性的に人手不足に悩むビルメンテナンス業界にとっての、これからの最適解になるのではないでしょうか。
業務用清掃ロボットによる省人化やコスト削減にご関心のある方は、ぜひこちらにご相談ください。