
啓蟄、出てくる害虫の予防と駆除
目次
二十四節季のひとつ啓蟄、冬ごもりをしていた虫たちが土の中から出てくる頃です。2025年は3月5日~19日になります。桃の花がほころび、春の気配を感じてさまざまな生き物が目覚める時期、春の到来を感じられる時期です。
凍える冬が終わり、心躍る季節ではありますが、虫たちの登場にはうれしくない方も多いかもしれません。
都市で問題になる有害生物
オフィスや商業ビル、店舗、ホテルなど多くの方が利用される施設は快適で安全な空間であることが求められます。ネズミ、ゴキブリ、ハエ、蚊、ノミ、シラミ、ダニ等の病原微生物を媒介する動物が発生すると、利用者に不快感を与えてしまうだけでなく、健康被害を引き起こす可能性もあるのです。
これらの有害生物の中でも、問題となることが多いのは、ネズミとゴキブリでしょうか。
ネズミの種類
建物に侵入するネズミには、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミがいます。
ドブネズミ
3種類のネズミの中で最も大きく、体長(頭から胴体までの長さ)30cm近くになります。下水道や土中で生活しており、泳ぎや土を掘ることが得意ですが、垂直の移動は得意ではありません。性格は獰猛で、駆除する際に嚙みつかれたりします。
クマネズミ
大きなものは体長25cm近くになります。ビルや家屋内で生活し、高い場所に登るのが得意で極めて敏捷です。非常に憶病で警戒心も強く、カゴ罠ではほとんど捕まりません。
ハツカネズミ
体長6~10cm未満と3種類の中で一番小さく、家屋や商業施設の周辺などさまざまな環境に生息しています。小さいため、わずかな隙間からでも建物に侵入することができます。
ネズミが引き起こす被害
ネズミが媒介する病原菌は数知れずあります。なかでも14世紀に黒死病として人々を恐怖に陥れたペストは、ヨーロッパの人口の3分の1を死に追いやりました。
ネズミに寄生するイエダニが増えて刺されるという被害も起きます。
伸び続ける歯を削るために、ネズミはさまざまなものをかじります。木材はもちろんゴムやコンクリートまでかじり、建物を傷めてしまいます。また、電化製品のコードやガス管をかじることで、漏電や火災の原因となることもあるのです。
さらに近年はSNSの普及により、特に飲食店などでは深刻な風評被害が起きることがあります。
ネズミの対策
侵入経路の遮断
ネズミの侵入を防ぐため、侵入が懸念される出入口や隙間等を金属板や侵入防止用パテを使用して物理的に塞ぎます。
捕獲による個体数の調整
捕獲用のかご罠もしくは粘着シートを使用してネズミの捕獲を行います。捕獲数を上げるためにも事前の移動経路調査が重要になります。
薬剤による管理
殺鼠成分含有の食毒材を喫食させて駆除を行います。
ゴキブリの種類
都市部のビル等には、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリが多く生息しています。
チャバネゴキブリ
体長12~15mm。全国に広く分布しています。寒さに弱いため、暖房設備の整ったオフィス、ホテル、飲食店、病院などに多く生息しています。
クロゴキブリ
体長27~33mm。全国に広く分布。木造の日本家屋、コンクリート造りのアパートなどの住居に生息していることが多いです。
ワモンゴキブリ
体長30~45mm。南日本に多い種ですが、暖房設備の整った都市域に広がりつつあります。
ゴキブリが引き起こす被害
ゴキブリはキッチンの生ごみなど雑菌が繁殖しやすい場所をエサ場としており、カラダにさまざまな菌が付着しています。その状態で食品や食器類に接触することで、菌をばら撒くのです。ゴキブリが媒介する病原菌には、サルモネラ菌、赤痢菌、ピロリ菌、O-157などがあります。
ゴキブリの対策
事前調査の実施
ゴキブリの種類、生息密度、主な生息場所、活動範囲などを詳細に調査します。
事前調査の結果を分析し、最も効果的な対策方法を計画・実行します。
環境改善対策
清掃を実施してゴキブリが生息しにくい環境をつくります。厨房什器の隙間などをコーキング材で塞ぎ、ゴキブリが潜む箇所をなくします。
物理的対策
捕獲用トラップを設置し、ゴキブリの個体数を減少させます。ただし、厨房など発生数が多い場所では、他の方法と併用する必要があります。
化学的(薬剤)対策
ゴキブリの発生数が多い場合は、薬剤を用いた対策が非常に有効です。
・食毒剤(ベイト剤)を喫食させ駆除する方法:薬剤飛散がないため、食品を扱うエリアでは安全に作業を行えます。
・液体薬剤を散布する方法:散布エリアにより事前の養生が必要な場合があります。
最後に
建物内に生息するネズミやゴキブリ等を駆除するだけでなく、発生・侵入しないように予防することも重要です。また、予防や駆除を行う際に、薬剤の不必要な乱用による健康被害が、防除作業者のみならず、施設の使用者・利用者にもたらされることのないよう留意する必要があります。
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