設備管理・保守の1つ「浄化槽定期点検」。点検の種類について知ろう
オフィスビルや商業施設などの建物には、汚水を綺麗にするための浄化槽が設置されています。
浄化槽で汚水が処理されることで、河川や海などを汚さずに済む仕組みです。
しかし、浄化槽が劣化しているとその機能を十分に果たせなくなることもあります。
そのため建物の管理者は、設備管理・保守業務として浄化槽も適切に管理しなければなりません。
本記事では、浄化槽定期点検について解説していきます。
浄化槽定期点検とは
浄化槽定期点検というのは、浄化槽が設置されている建物の管理者に義務付けられている点検作業のことです。
具体的には、次の3種類に分けることができます。
- 保守点検
- 浄化槽の清掃
- 法定点検
保守点検というのは、浄化槽が正常に機能しているかどうかの確認を行う作業のことです。
主に汚水の処理状況などを見ることで、浄化槽が正常に機能しているかどうかが分かります。
もし、汚水が十分に処理されていないようであれば、原因を特定し改善しなければなりません。
浄化槽はバクテリアなどの微生物の働きによって、汚水を処理する仕組みです。
そのため、正常に機能していない場合には、微生物の活動が鈍っていたり死滅していたりする可能性があります。
放置しておいても自然に改善することはほとんどありません。
改善のためには微生物を追加したり活動しやすくする環境を整えたりする必要があります。
また、浄化槽の清掃は、保守点検とは別に1年間に1回の頻度で実施が義務付けられているものです。
浄化槽を稼働させていると、汚泥が少しずつ浄化槽の内部に溜まっていき、これにより正常な動作が妨げられることがあります。
そのため、汚泥を取り除いて内部を綺麗に清掃しなければなりません。
建物によっては、使用人数に対して大きな浄化槽を使用しているところもあるでしょう。
その場合には、あまり汚れが溜まらないということで、清掃頻度を落としても良さそうに思えることもあるかもしれません。
しかし、どんな使用環境でも1年に1回の浄化槽清掃は必要です。
浄化槽の中にいる微生物は、汚水の中に含まれる汚れを餌にして生きています。
そのため、あまり汚れないということは餌が少ないことを意味し、微生物が死滅してしまうこともあるでしょう。
微生物の死骸で浄化槽が詰まっている可能性もあります。
そのような事情から、浄化槽の清掃を実施する頻度を減らしてはいけません。
そして、法定点検というのは保守点検や清掃がきちんと行われているかどうかチェックするため指定検査機関が実施する点検です。
法定点検に関しては、次項以降で詳しく説明していきます。
浄化槽の法定点検を受けなければいけない理由
浄化槽の法定点検を受けなければならないのは、浄化槽法という法律により義務付けられているためです。
まず、浄化槽を設置後、3ヶ月以上5ヶ月以内に最初の法定点検を受けなければなりません。
浄化槽法第7条において規定されているため、第7条点検と呼ばれています。
また、第7条点検を受けた後は、毎年1回定期的に実施する法定点検も受けなければなりません。
毎年1回の法定点検に関しては、浄化槽法第11条に記載されているため、第11条点検と呼ばれています。
法定点検を実施しなかった場合には、都道府県知事や市町村長から助言や指導、勧告、命令などが出されることがあります。
加えて、罰則も設けられているため注意しましょう。
具体的には30万円以下の罰金が課せられてしまう可能性があります。
法定点検をしないことで、浄化槽の状態が悪化し、改善するのにかえって多くの費用がかかることもあるでしょう。
浄化槽の法定点検の対象
法定点検の対象になる浄化槽はすべての浄化槽です。
浄化槽の大きさや種類などは関係ありません。
小規模な店舗やオフィスなどに設置されている浄化槽でも、法定点検の対象になるため、必ず受けるようにしましょう。
法定点検においては、保守点検とほぼ同じ内容の点検作業に加えて、BOD検査というのも実施します。
BOD検査というのは、生物的酸素要求量検査とも呼ばれ、浄化槽の維持管理状態を確認するための検査です。
BOD検査の結果、浄化槽の維持管理状態に異常があると判断された場合には、管理者に対して改善するように求められます。
保守点検の際に特に異常が発見されなかった場合でも、法定点検のBOD検査で発見されることがあるため重要度が高いです。
浄化槽定期点検は必ず実施しよう
浄化槽には少しずつ汚れが溜まるため、使用しているうちに機能も少しずつ低下していきます。
正常な機能を維持するために、保守点検・浄化槽清掃・法定点検の浄化槽定期点検を必ず実施しなければなりません。
浄化槽定期点検を実施しないと、行政から勧告が出されたり罰金の対象になってしまったりする可能性があります。
自社内で実施するのが難しい場合には、専門の業者に依頼して行うのがおすすめです。
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