家庭用清掃ロボットが業務用で活用できない理由

近年、家庭用ロボット掃除機は、私たちの生活にすっかり馴染み深い存在となりました。その便利さから、「会社でも使えたらもっと楽になるのに」と考える方も多いでしょう。

実際、清掃コストのカットや社員へのホスピタリティにもつながると、導入に踏み切ったというお話も様々な業界の方から聞こえてきます。しかし「職場だとなぜかうまく動かない」という悩みや相談を伺う機会も増えてきました。 なぜ、家庭用ロボット掃除機は、オフィスや施設のような業務用環境で十分に機能を発揮できないのでしょうか?

住宅に特化した家庭用清掃ロボット

1.センサー範囲

部屋のマッピングや、障害物の検知、自分の位置の認知には、ロボットに搭載されたセンサーが使われます。一般的な家庭用清掃ロボットのセンサー範囲は8m~10m前後が主流です。住宅の一番広い部屋(リビングダイニングなど)の一片の長さは、広めのお宅で10m程度と考えると、住宅においては十分なセンサー範囲といえます。
ですが、商業施設の広いホールや病院などの長い廊下で使用する場合、センサーの機能不足から、移動中に自分の位置がわからなくなり、動作が止まるなどの不具合が出やすくなることがあります。自動運転で清掃しているはずのロボットがいつの間にか停止していた、思いもよらぬ場所にいたという事態が起きる場合があるのです。

2.マップ登録機能

ロボット掃除機は、箱から出したらすぐに掃除ができるわけではなく、清掃場所がどういうところなのかを把握するため、部屋のマップを作って記憶する必要があります。これは、毎日同じルーチンをこなすための大切な工程です。
メーカーや機種によって、この「マップ」の登録数が異なるのですが、家庭用清掃ロボットは、マップ登録数が1~数枚程度のものがほとんどです。
しかし企業で清掃ロボットを使用する場合は、様々な部屋やホールでの活用するケースも多く、数多くのマップを登録する必要があります。登録数が少ないと、決まった部屋しか掃除ができない、あるいは、毎回マップを登録する作業から始めるので時間がかかるなど、使い勝手が悪くなってしまうのです。

3.2台以上での連携

広範囲を掃除する業務清掃では、2台以上のロボットを使って清掃を行うケースもあります。業務用清掃ロボットの管理アプリは、複数台での管理も想定済みであり、どのロボットにどこの清掃をさせるのか、一つのアプリから指示を出すことが簡単にできます。また、スキャニング済みのマップや設定済みのタスクデータの共有ができるので、万が一の故障やメンテナンスでいつものロボットが使えない場合でも、代替機がスムーズにマップやタスクを読み取り、いつも通りの清掃が可能です。

まとめ

家庭用清掃ロボットは、一般住宅やマンションの一室を清掃するための機器です。
ほとんどのメーカーの製品はその役割を果たすために十分な機能を備えていますが、想定を超える広いエリアの掃除には対応しきれないのが現状です。

これは「業務用」が発売されている多くの電気製品にも当てはまることで、掃除機も例外ではありません。業務用清掃ロボットは、使用場所の広さや、その業務にかかわる多くの人が使いやすいように、様々な機能がグレードアップされているのです。

仕様比較

機能家庭用ロボット掃除機業務用清掃ロボットJINNY20
センサー範囲8-10m程度25m以上
マップ登録数1-数枚100枚以上
複数台連携不可または機能が限定的可、データ共有可能
清掃能力比較的小規模な空間広範囲な空間

※家庭用ロボット掃除機の機能は、メーカーや機種によって異なります。上記は一般的な複数の機種を例に表を作成しています。

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